がんの予防について

がんの中には、生活習慣の改善や適切な医療介入によって予防が可能なものがあります。予防効果は種類によって差はありますが、以下にがんの種類とその予防方法についてご紹介いたします。

1. 肺がん

予防方法：禁煙および受動喫煙の回避

たばこは肺がんの主要な原因とされています。禁煙することで、肺がんのリスクを大幅に低減できます。また、他人のたばこの煙を避けることも重要です。
禁煙後1年で肺機能は改善傾向を示し、2～4年で虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約1/3減少します。肺がんのリスクが低下するのは禁煙後5年とやや時間がかかりますが、10～15年経てば様々な病気にかかる危険が非喫煙者のレベルまで近づくことが分かっています。

2. 肝臓がん

予防方法：B型・C型肝炎ウイルスの感染予防と治療

これらのウイルス感染は、肝臓がんのリスクを高めます。ワクチン接種や適切な治療により、感染を予防・管理することが可能です。
最近ではアルコールやMASH（代謝機能障害関連脂肪肝炎）による肝機能障害→肝硬変→肝臓がんが増加していますので禁酒・メタボの改善が肝臓がんの予防になります。

3. 子宮頸がん

予防方法：ヒトパピローマウイルス（HPV）ワクチンの接種

HPV感染は子宮頸がんの主な原因です。ワクチン接種により、感染を予防し、子宮頸がんのリスクを低減できます。日本ではワクチン接種が進んでいない現状でした。数少ないワクチンで予防できるがんであるため、予防接種が推奨されます。

4. 胃がん

予防方法：ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌

ピロリ菌感染は胃がんのリスク要因とされています。医療機関での検査と、必要に応じた除菌治療が予防につながります。胃がんの多くはピロリ菌陽性者から発生します。除菌治療により胃がん発生リスクは1/2～1/3程度まで減少するとされています。ただしゼロにはなりませんので定期的な内視鏡検査が必要です。
その他は塩分・喫煙・飲酒などが要因となりますので生活習慣の改善を要します。

5. 口腔・咽喉頭・食道がん

予防方法：節度ある飲酒・禁煙

過度の飲酒・喫煙は、これらのがんのリスクを高めます。適度な飲酒量を守ることで、リスクを低減できます。
飲酒で顔が赤くなるフラッシング反応を起こしやすい人をフラッシャーと言います。飲酒により発生する有害物質のアセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素の働きが生まれつき弱い方であることが多く、継続的に飲酒をすることで発がんする可能性が高いことが分かっています。

上記以外のがんも、基本的には喫煙や過度な飲酒・肥満などがリスクになることが多いと言われています。規則正しい食生活、運動習慣をつけることで病気の予防をしましょう。
当クリニックでは、がん予防に関するご相談や各種検査、ワクチン接種を行っております。ご自身の健康を守るため、ぜひお気軽にご相談ください。